当日予約しようとしていたお店にお電話したところ、一人客の来店をお断りされてしまった悲しきぼっちモンスター、やわポ。ホームページに明記してあるお店を除いてお一人様お断りのお店に遭遇したことがなかったため、新鮮な気持ちになりました。
とはいえ既にお店の最寄り駅で降車してしまっていたので、とりあえずGoogleマップを開いて近くにブックマークしているお店がないか調べます。ちょうど良くそこから徒歩3分の場所にあった焼鳥屋さんをブクマしていたので、そちらに向かいました。
何とも味のある外観。お盆期間中にもかかわらず営業してくださってありがたい限りです。ウォークインで入店しました。
とりあえずの冷酒はやまとしずく。乳っぽい感じの酸が爽やかで美味しい。
お通しはアツアツ茹でたての枝豆です。甘味があり、塩もバチっと効いています。
お通し二品目、冷奴です。胡麻油の香りとオニスラの風味が最高の肴でした。
コースの始まりは鶏胸です。パサつきは一切なく、ビロードのように心地よい食感の胸肉に程よく青いオリーブオイルと大根おろしのアクセント。
ねぎまです。肉汁をあらん限り湛えたモモ肉と、トロッと甘いネギの最強タッグを楽しみました。
うずらとささみです。焼鳥に明るくないやわポには物珍しい組み合わせ。当然ながらささみはしっとりと仕上がっています。そしてこのうずら!焼く前に煮付けて味玉のような状態にしてあります。焼いてから塩を振っただけのうずら串とは違って、黄身の中心まで染み込んだタレの味を感じられます。
あっという間に一杯目が干上がってしまったので、次のお酒です。メニューにあった「竜の涙(ティアキンをプレイしている方は謎の興奮を覚える名前ですね!)」は品切れとのことで、こちらをいただきました。竜の涙に味の系統が似ていて、軽やかスッキリな味わいだとか。微かにシュワっと発泡感があります。
「口直しにゆっくり食べてください」と出していただいたお野菜です。全部美味しいのですが、特に谷中生姜がジメジメとした夏の外気の不快さををリセットしてくれるようで、素晴らしい箸休めでした。野菜につけるお味噌にはニンニクがしっかり効いています。
皮です。やわポの胃は動物性脂肪の消化を苦手としているようで、サシの入ったお高いお肉や脂っぽい鳥皮を食べると大抵の場合は直ちにお腹を壊すのですが、こちらの皮串は時間をかけ、じっくりと焼いて脂を落としてくださっているからか最後までポジティブな旨味だけを楽しめました。
ハツモトです。程よい鉄っぽさ、ジューシーで弾力強めの肉質、最高でした。常連になって遠慮がなくなったらおかわりしたい。
砂肝です。今まで砂肝はコンフィが最良の調理法だと信じていましたが、炭の香りをまとって程よく水分が飛んだ串焼きの風味には負けるかもしれません。美味しい!
やわポの個人的ハイライトはレバーです。下処理が行き届いているのか、臭みや不快な苦味は一切ありません(元々はレバーが大の苦手でした)。中心まで火が通っているのにふんわりクリーミーで、舌の上でとろけていくようでした。
お野菜の串も挟みます。南蛮大好き人間は大歓喜です。噛み締めるとお野菜のエキスと鰹節の出汁が溢れ、もれなく幸せな気持ちになれることでしょう。
かの有名なまんさくの花。こちらはふくよかな旨味がしっかりと主張してきて、焼鳥のお味に負けずに寄り添ってくれました。
おまかせの最後はいかだです。パリパリの皮とプリッとしたお肉のコントラストを楽しみます。骨を手で持ってしゃぶりつき、間に残ったお肉まで余すことなくいただきました。
もう少しだけ食べたいので二本追加でいただきました。
これは合鴨です。柚子胡椒を乗せてあります。鶏肉とは明らかに違う力強い風味がありました。やっぱり、鴨、好きだ……
何この劇団イヌカレーみのある素敵なラベル。フルーティーかつバランスに優れ、〆の一杯にふさわしいです。串を食べ終わってからも、お野菜についてきた味噌の残りを舐め舐め、最後の一滴まで飲み干しました。
デザートはつくねです。刻んだ軟骨が混ぜ込んであるコリコリタイプではなく、しっとりして肉汁たっぷりのハンバーグのような一品でした。
台風の予報があったせいか、客は自分しかいない時間がほとんどでした。でも普段は常連さんで混み合うらしいので、タイミングと運がすごく良かったのかな。一人でふらっと訪れた一見客にも関わらず穏やかかつ柔軟に対応してくださる店主のお人柄、何より丁寧に処理され焼き上げられた串の数々が素晴らしく、今後も機会があればぜひ伺いたいお店です。
予算はこんな感じですのでご参考までに。個人的には日本酒の「その他 各地 色々」が本当に色々あるので、お好きな方はご相談されると楽しいかと思います。