ファルスタッフ見習い

やわらかハートポイント@yawarakahpの日記 飲食、旅行、音楽など

月イチ餃子のすすめ

普段の仕事帰りは冷蔵庫にある適当な食材を炒めるか煮るかですが、できるだけ月一回は餃子を作るようにしています。

以下、需要はないと思うのですが、ここ数年で蓄積したお家餃子の知見を記録していきます。

皮は強力粉(日清のカメリヤ)300gに熱湯200g弱を加えて練って作ります。耳たぶくらいの弾力になったらいいらしいです。まとまった生地を丸めて濡れ布巾で包んで20分寝かせます。うちの場合は皮担当(以下「ペラオ」という。)が練り上がった生地の塊を家から持ってきてくれる間に自然と「寝かし」の工程は済んでいます。

ペラオのご実家ではずっと皮から手作りして、揚げ・焼き・水餃子の調理法を一通りやっていたそうです。やわポの実家では市販の皮で包んでひたすら焼くだけです。かてへん

手作りの皮の良いところは(粉と水の配合にもよりますが)よく伸びて包みやすいところです。気分が向けば味をアレンジすることもできます。

例えば、今年の2月はシナモンパウダー入りの皮。ペラオ曰く茨城の「丸満餃子」リスペクトだそう。生地を伸ばす時から部屋に充満するシナモン臭。やわポは好きですが、苦手な人もいそうです。

これはその焼き上がり。シナモンの激しい主張は不思議なことに少しマイルドになり、甘い香りとベルギービールの風味がぴったり合いました。またやりたい。

皮作りは完全にお任せしてしまっているのであまり贅沢は言えないのですが、いつか翡翠餃子の皮(ほうれん草を練り込むやつ)にもチャレンジしていただきたいです。

 

やわポが担当する餡は毎回適当。でも野菜は手切りする派です。自分の扱いが下手なだけだと思いますが、フードプロセッサーだと野菜が細かくなりすぎ、水分が出てしまいます。

また、塩気のある具材や調味料と野菜を合わせるのは包む直前です。完成形の餡を放っておくと、野菜から水分が出てべちゃべちゃになり、包みづらいことこの上ないです。餡を寝かせる派は刻み野菜単独で塩を振って、出てきた水分を絞る工程を挟むのでしょうね。

大体豚ひき肉・キャベツ・ニラ・ニンニク・生姜(あればネギ)の定番具材に旬の食材を加えます。

例えば、今年の3月末はホタルイカ

お肉の餡に魚介類を混ぜると言うと大体最初は驚かれるのですが(代田橋の「餃子SUNSU」のマスターも不思議そうな顔をされていました。彼のようなプロはサメの餃子のように、餡のひき肉に当たる具材もきちんと魚介類に置き換えるからですね)、肉汁に魚介特有の旨味が溶け込んで、個人的にはとっても好きです。サーフ&ターフってやつですよ(?)

他にはしらす、秋鮭とか牡蠣とか。今度貝で取った出汁を練り込むのもやってみたいです。味のしっかりしたアンチョビや酒盗などはそのまま混ぜるだけ、お手軽で美味しいです。

初めの頃に作ったので忘れていましたが、豚ひき肉の代わりにラム肉をフードプロセッサーで粗挽きにしたものを使った餡も美味しかったです。当然ながらラム肉とクミンはよく合いますね。鴨肉は……あえて餃子の餡にする必要はなかったかなと思いました。どなたか、美味しい鴨餃子のお店をご存知の方は教えてください。または作ってください。

 

餡の完成が近づいたら、生地を24等分して一個一個を皮の形に伸ばしはじめます。これもペラオ担当です。彼は麺棒一本でいとも容易くやってのけるのですが、やわポは上手くできません。

皮ができたそばからはち切れんばかりに餡を入れて包んでいきます。これはやわポ担当です。手作りの皮は打ち粉をしているとはいえ水分量が多くて、少し置いておくだけでくっついてしまいます。その代わりとてもよく伸びるので、心置きなくみちみちに中身を詰められます。そして縁に水を付けなくても留めることができます。

包む時に餡を掬うのには、わざわざ餡ヘラを買わなくても、パレットナイフ(ケーキをナッペするやつ)があれば大丈夫です。スプーンとは作業性の良さが段違いです。

ひとしきり包み終わると、餃子たちがバットに並ぶ姿を見て謎の達成感を覚えます。

しかし前述の通り皮がくっついてしまう心配があるので、一息つく間もなく焼いていきます。これはペラオ担当です。鉄フライパンに油をたっぷり敷きよく温めて、餃子を並べ入れて焼き色を付けます。横で沸かしておいた熱湯を注いで蓋をします。いい感じに蒸されたら(このタイミングの見極めもなかなかやわポには難しい)、蓋を取って水分を飛ばして完成です。

この間にやわポは片付けをしたり、食器を準備したりします。

やっと食べ始めます。その日の餃子の味に合うお酒を準備するのも楽しみの一つです。上の写真は酒盗餃子に森嶋の辛口純米吟醸。合わないわけがない!

アチアチ……と言いながら一口、お酒を挟んでもう一口。ラー油や酢でたまに味変しつつ食べ進めていきます。ラー油マニアではないので特別沢山のラー油を食べ比べているわけではないのですが、やわポの圧倒的おすすめはこちらです。固形分のないラー油なんて……!

一個一個が大きくずっしりと食べ応えのある餃子なので、一人8個も食べればすっかり満腹です。

ライスはないのか、ですって?そんなものはありません。以前友人から「お酒を飲むからご飯が要らないんじゃないの?」と訊かれました。お酒の有無は関係ありません。実際、やわポは実家で物心ついた時から餃子の日には餃子しか出ませんでした。餃子を崇めよ。餃子だけでお腹いっぱいになりなさい。下は友人をして「様子がおかしい」「狂気じみている」と言わしめた実家の餃子です。

さて、餃子を作る一連の流れでしつこく「これは〇〇担当……」と繰り返していたのは、別にチームプレイを自慢したいからではありません。狭い1K賃貸で行うという制限付きで、二人で協力して作るのに餃子ほど向いた料理はないのではないかと考えているからです。

1Kの狭小なキッチンでは並んで作業するスペースなどとても確保できません。また、火口に立っている人、刃物を持っている人の真後ろをもう一人がウロチョロ移動すると危険です(これは家具の配置によるかもしれませんが)。

そのため、焼き物をする人と洗い物をする人が並んでキッチンに立つ場合などを除いて、一人はキッチン、もう一人はリビングで、または二人ともリビングで作業できると都合がいいのです。

お湯は用意する必要がありますが、生地作りには基本的に火も刃物も要らないので

生地を練る(リビング)・餡を作る(キッチン)→皮を伸ばす・餡を包む(二人ともリビング)→焼く(キッチン火口)・洗い物(キッチンシンク)とテーブルセッティング(リビング)

と並行すれば危険もタイムロスも避けながら楽しく食事の準備ができます。

加えて、餃子は家庭料理の中では比較的工数が多くてご馳走感が強いし、何より協力して作った料理を一緒に囲むのは楽しいのです。餃子を崇めよ。

最後に去年の12月に作ったカラスミ餃子を紹介して終わります。年末感溢れる一皿。餡にも上から削って散らす飾りにもふんだんにカラスミを使用し、禁断の味を楽しみました。こういう、原価がすごくてお店ではまず出ないようなアレンジ餃子も家では好き放題できてしまいます。

月イチ餃子、これからもゆる〜く続けていきたいです。皆さんもぜひやってみてください。おすすめです